
ローラーギヤカム機構
この機構は、ローラーギヤカム(グロボイダルカム)とカムフォロアーを放射状に配置したタレットという二つの要素を直交に組み合わせ、カムを等速回転させて動きを伝えるとてもシンプルな間欠割出機構です。
その動きはカムの溝、又はリブがカムフォロアーを2点接触を基本として常に拘束し、そのカムフォロアーを送ることで得られます。
さらに言えばウォームギヤ減速機のようなもので、カムがウォームギヤでタレットがウォームホイールと考えれば簡単でしょう。
この機構における最も大きな特徴は、軸間を容易に調整出来るという点です。
主要部品の一つであるローラーギヤカムはつづみ形カムの一種で そのリブはタレットに放射状に取り付けられたカムフォロアーとの組み合わせなので、テーパーになっていて適切な与圧をかけることでバックラッシュ”0”が可能です。
高速、高精度という点においてとても優れています。

■ローラーギヤカムのしくみ
この機構ではタレットに取り付けられたカムフォロアーが円筒状のカムの外周にある溝、またはリブに入力軸1回転360°常に拘束された状態にあり、そのカムフォロアーの動きはカムの溝、もしくはリブの形によって制御されることになります。
割出(インデックス)はカムの割付角にあたるリード部分によって導かれ、次のステーションへ移動して完了します。
また、停止はまっすぐなリブを外側から挟み込む形で拘束します。
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
■ローラーギヤカムのネジレ
カムのネジレとは、従節(出力軸)の回転方向を決定するもので、下図のようにR(右手カム)、L(左手カム)と二種類あります。
原節であるカム軸(入力軸)の回転に対して従節のローラーを送る(リード)方向のことをさしています。
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■インデクサー用のカム
●シングルドゥエルカムとツインドゥエルカム
マイデックスのローラーギヤカムは、低・中速・軽・中荷重用シングルドゥエルカムと、高速・重荷重用ツインドゥエルカムを標準化しています。シングルドゥエルカムとツインドゥエルカムでは、まず、停止時のカムフォロアーがカムリブを挟んでいる角度(保持角)が異なります。ツインドゥエルカムは保持角が大きいので停止時の出力軸剛性や割出後の残留振動問題等において高速になるほど有利になります。

シングルドゥエルカムでは加速から減速に移る点(変曲点:図中黄色部分)においてカムフォロアーの自転方向が逆転する現象が見られると同時にカム面とカムフォロアー外輪との間には転がり摩擦ではなく、瞬時のすべり摩擦現象が生じます。このため高速運転時にはツインドゥエルカムを推奨します。

ツインドゥエルカムは変曲点においてカムフォロアーがカムリブをはさみ込んで常に同じ方向で回転し、すべり摩擦現象を引き起こしません。つまり高速運転ではツインドゥエルカムが摩耗に対して有利であり、残留振動にもきわめて効果的です。
弊社では使用回転数が200rpmを超える場合、ツインドゥエルカムを推奨します。
●カムタイプ
インデクサー用のカムには、カムタイプ1とカムタイプ2があります。
カムタイプ1にはカムの外周360°に移動と停止が一回ずつあります。
カムタイプ2には外周360°にシングルドゥエルとツインドゥエルの移動と停止が一回ずつあります。
標準仕様においては180°に一回ずつ移動と停止が得られるようになっていて、主に多分割(割出数の大きい)に対応する目的で使用しています。また、同一の仕様でタイプ1と比較すると大きなローラーが配置できるので伝達トルクは高くなります。
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■オシレーター用のカム
オシレーター用のカムは従節(出力軸)の往復運動を目的としたカムで、ある方向へ任意の角度回転した後に戻り方向のリード(カムリブまたは溝)に導かれ元の位置に戻ります。
動きの特性はインデクサー用のカムと同様に優れています。
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